特許申請の事例集(ビジネスモデル特許編)

1例目
◆お客様の属性:中小企業の経営者(30代男性)
◆発明の技術分野:ビジネスモデル
◆特許出願から約1年後に審査請求
◆早期審査制度を活用
◆拒絶理由通知1回、審査官面接なし
◆弁理士費用:特許出願45万円、意見書・手続補正書12万円、登録成功謝金16万円
※実際の事例に即してはおりますが、適宜修正しています。

お問い合わせから特許出願まで

2月 9日 電子メールでのお問い合わせ
2月12日 1回目の打ち合わせ(場所:弊所)、出願に向け資料作成を依頼
2月19日 作成を依頼した資料を受領
2月22日 2回目の打ち合わせ(場所:弊所)、特許出願書類の作成開始
3月 8日 完成した草案について、電子メールにてチェック依頼
3月 9日 チェック結果到着、特許出願

 お客様は、自分で先行技術調査を行い、本件と類似すると思われる文献を手許にお持ちでした。「本件と先行技術文献とでは、解決したい課題が同じなので、本件は特許にならないですよね」というお考えでしたが、私も時間的に余裕があったので、この先行技術文献を読み込んだ後、「確かに解決したい課題は同じですが、アプローチの方法が違うので、特許を受ける可能性はありますよ」とアドバイスさせていただきました。
 本当のところはお伺いしていませんが、特許を受けられるのか否か半信半疑での特許出願だったのではないかなと思います。
 ただし、上記の先行技術文献に対するお客様と私の意見交換が、後々の拒絶理由通知の対応で活かされました(実は、意見交換の議事録を作成し保管していました)。

出願審査請求から特許査定まで

1月 7日 特許出願から1年が経つ旨のご連絡(国内外優先権期限の到来のお知らせ)
1月14日 出願審査請求をしたい旨の依頼
1月17日 出願審査請求、早期審査に関する事情説明書の提出
3月 1日 拒絶理由通知(1回目)の到着
3月18日 弊所にて、拒絶理由通知の対応をどうするか打ち合わせ⇒弊所に対応を一任される
4月 4日 意見書、手続補正書の草案を作成し、電子メールにてチェック依頼
4月 6日 チェック結果到着、意見書、手続補正書を特許庁に提出
6月 7日 特許査定の通知

 本件は早期審査制度を利用しましたので、審査期間が2月程度と通常より相当短いです。ちなみに、中小企業、個人が出願人であれば、早期審査制度を利用することはそうハードルが高いことではありません。
 話しは変わって、初めて本件の拒絶理由通知を読んだ時の感想ですが、「この審査官は厳しい見方をする人だな」というものでした。お客様に反論点をどうするか相談しましたが、「お手上げだ」とのことでしたので、私が反論点を原案から練り上げることになりました。そこで、役に立ったのが、上記「意見交換の議事録」です。ここに、既存技術との差異が2点、書き出されていたのです。意見書、手続補正書では、思い切ってこの2つの論点に賭けてみることにしました。
 すると、意見書・手続補正書の提出から1~2月が経ち、特許査定(特許登録を許可する旨の通知)が届き、お客様とホッと胸を撫で下ろしたという一件です。

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2例目
◆お客様の属性:コンサルティング会社の経営者(40代男性)
◆発明の技術分野:ビジネスモデル
◆特許出願と同時に審査請求
◆早期審査制度を活用
◆拒絶理由通知なし、審査官面接なし
◆弁理士費用:特許出願45万円、登録成功謝金16万円
※実際の事例に即してはおりますが、適宜修正しています。

お問い合わせから特許出願まで

4月 6日 電話でのお問い合わせ
4月11日 1回目の打ち合わせ(場所:弊所)、先行技術文献調査を受任。
4月16日 社名の商標登録出願を受任、その後、出願実行(現在、登録済み)
4月17日 先行技術文献調査の結果を報告→特許出願を行うことになる。
      同時に、資料作成の依頼(4/27締切)
5月 8日 2回目の打ち合わせ(場所:お客様の会社)、資料作成の依頼(5/22締切)
5月25日 3回目の打ち合わせ(場所:お客様の会社)、特許出願書類の作成開始
6月15日 完成した草案について、電子メールにてチェック依頼
6月20日 チェック結果到着
6月21日 特許出願

 
 お客様は、ご自身で先行技術文献調査を行い、自社システムと何となく似ている技術を見付けた上で、1回目の打ち合わせに臨まれていました。打ち合わせの際、ざっと文献に目を通し、「何となく違う雰囲気ですが、即断はできませんね」、「調査漏れがあって、他に類似技術があるかもしれませんよ」とアドバイスをさせて頂きました。そういった流れで、取り敢えず、先行技術文献調査をやってみようかということになりました。
 先行技術文献調査の結果、何となく類似する先行技術はあるものの、本件システムの進歩性が否定されそうな文献は発見されませんでした。ということで、本件を特許出願することになりました。
 本件、なかなか難しい案件でした。内容が非常に高度だったんです。私は、弁理士になる前、金融機関で働いていたわけですが、そこでたまたま本件技術分野を担当していたので、今回は何とか対応できたような感じです。HPには私の経歴を載せていますので、それを見て、本件を私に依頼されたのか?それとも他の理由なのか?そのこと(私に依頼した理由)については今現在も聞けていませんが、果たして真実はどうなんでしょうか?

出願審査請求から特許査定まで

6月21日 特許出願と同時に出願審査請求。
      会社設立後、数年しか経っていないので、審査請求料の減免も申請。
      早期審査に関する事情説明書も提出。
8月21日 特許査定の通知(なんと、拒絶理由通知なし!!)

 お客様は、なるべく自社システムについて出願公開したくないというニーズをお持ちでした。そうであればということで、出願と同時に、早期審査制度を利用した出願審査請求を行うことをご提案しました。こうすれば、特許が取れた場合は問題なし、仮に特許が取れない場合は、出願公開がなされないので、自社ノウハウを明かさないというにお客様のニーズを満たすことができるのです。ちなみに、特許出願は出願から1年6月が経つと、自動的に出願内容が公になってしまうのですが、この出願公開の準備に入る時期(出願後1年4月後ぐらい)までに対象案件の拒絶査定が確定していれば、出願公開はされないのです。これを知っておくと便利ですよー。
 また、本件はビジネスモデル特許ですから、審査において厳しい戦いを強いられると覚悟していましたので、拒絶理由通知なしに1発で特許査定がでるとは本当に驚きでした。おそらく勝因は、先行技術調査をやって、先行技術との差異を明確にした状態で、特許出願を行ったことにあるのでしょう。「先行技術調査は重要である」と改めて感じさせてくれる1件でした。
 もう一つ、本件には驚きの事実があります。実は、このお客様、本件「特許が取れた技術」に「付随する技術」についても特許を取りたいと当初から望まれていたんです。しかし、この「特許が取れた技術」がすんなり特許になるかどうかの事前の保証はありませんので、私は、将来の修正余地として「付随する技術」について、後に分割出願できるような状態にした上で、1つの特許出願に盛り込むことを提案しました。
 そして、予定通りというか、想定以上に順調に本件特許が取れましたので、この「付随する技術」を分割出願したところ、なんと、これまた拒絶理由通知なしの1発特許となったのでした。
 本件は、案件の内容が難しくやりがいがあったのと同時に、出願戦略面でも弁理士としていい仕事ができたんじゃないかなあと自画自賛してしまう一件なのでした。


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